野村誠 鍵ハモトリオ


2013年2月3日 芦屋 山村サロンへ是非、来聴ください。

福井とも子:ascending and descending

平木悟:音楽は廻る

池田真沙子:もつれたリチェルカーレ

木山光:曾根崎心中

近藤浩平:南の島の3人の男

Andrew Melvin:トリオ

南川弥生:Moon rainbow

三沢治美:Blue Dance

諸橋玲子:おとなひ�

中村典子:雛翠

野村誠:ベルハモまつり

大慈弥恵麻:Nasobema2

Gardika Gigih Pradipra:Melodi di Kampung

田口雅英:3分間の夢想

高橋哲男:五連鐘楼のアナグラム




野村誠さんが、このコンサートについて下記のように書いている。


鍵ハモトリオ・コレクション

百人一首」のような「鍵盤ハーモニカ(鍵ハモ)トリオ集」を作ろうと思って,同時代に生きる作曲家に委嘱を始めたのは、2006 年のこと。 5年間で、3分以内の小品が16曲も集まり、一曲ごとに全く違った響きが立ち上がった.鍵ハモトリオという編成は、本当に可能性があると確信した。しかも、日本は世界屈指の鍵ハモ先進国。メンバーを集めるのも比較的簡単で、再演もしやすい。コンサートホール、ライブハウス、会議室、カフェ、様々な場所で演奏ができる。例えば、田中吉史の「うろおぼえの旋律とコラール」は、07年に京都で初演したが、その後も、08年に東京で、 09年に浜松、名古屋、ロンドン、東京で再演するなど、頻繁に演奏している。

日本以外の国では、鍵ハモトリオは、非常に珍しい編成だが、鍵ハモと譜面と音源を持って、世界各地で少しずつ種まきをし、輪が広がってきた。イギリスには、鍵ハモに興味を示している作曲家が何人もいる。 例えば、Andrew Melvinがブルネル大学に提出した博士論文では、彼自身の鍵ハモトリオ作品「トリオ」について、詳述されている。インドネシア国立芸大を最優秀の成績で卒業したばかりのGardika Gigih Pradipta は、鍵盤ハーモニカを頻繁に用いた演奏活動を展開している。そして、こうした鍵ハモに興味を示す作曲家は,面白い作曲家ばかりなのだ。

こうした活動に、日本現代音楽協会が興味を示し、鍵ハモトリオの新作を公募することになった。これは、歴史的な事件だと思う。名乗りをあげた作曲家は、予想通り個性派ぞろいだった。日本現代音楽協会の会員から7名、非会員から4名、計11名の新作が集まった。それに加えて、インドネシア民族音楽を題材にしGardika Gigih Pradiptaの作品、非常にエネルギッシュでリズミカルな木山光の作品、イギリス人らしいユーモアが詰まったAndrew Melvinの作品など、あわせて15人、15曲。譜面を前に現在、猛練習中で、大変だがこれは本当に面白い。今回のプログラムは、様々な音の珍味を一口ずつ味わっていただけると思う。

コンサートでは、3分の曲の演奏の前に、それぞれの作品や作曲家に関する5分のトークをつける予定だ。  鍵ハモトリオという編成は、いずれ(ハイドンの時代の弦楽四重奏のような)スタンダードな編成になると思う。多くの作曲家が、これからも鍵ハモトリオの作品を書くだろうし、鍵ハモを演奏するプレイヤーも増えていくだろう。そんな時代は時々刻々と近づいている。今回のコンサートは、その大きな一歩になると思う(野村誠



▼プロフィール

野村誠 NOMURA Makoto
鍵ハモ奏者として、現代音楽/即興演奏のフィールドを中心に、幅広く演奏活動。Juice Festival(イギリス)、Melodica Summit(ドイツ)、Lille 2004(フランス)、Zommer Jazz Fiestour(オランダ)、竹山国際芸術祭(韓国)、Festival Musik Tembi(インドネシア)などで鍵盤ハーモニカを演奏。96 年、鍵ハモ・オーケストラ「P−ブロッ」結成し、平石博一、Elliott Sharp、しばてつ、Soe Tjen Marching他、数多くの作曲家の新作を世界初演。06 年より、「鍵ハモトリオ」プロジェクトを開始し、鶴見幸代、朴守賢、田中吉史、David Kotlowy、橋本知久、牛島安希子などの作曲家の委嘱新作を次々に世界初演。09 年、国際交流基金(ロンドン)にて、鍵ハモのレクチャーを行う。NHK 教育テレビ「あいのて」、「ひみつのチカランド」、「ドレミノテレビ」などに出演し、鍵ハモの魅力を伝える。第1回アサヒビール芸術賞受賞。作曲プロジェクト「原発やめます」を進行中。著書に「音楽づくりのヒント」(音楽之友社)、「即興演奏ってどうやるの」(あおぞら音楽社片岡祐介との共著)ほか。現在、京都造形芸術大学客員教授

片岡祐介 KATAOKA Yusuke
1969年生まれ。東京音楽大学で打楽器を学び、スタジオミュージシャンを経て、1997年〜 2000年、岐阜県音楽療法研究所に研究員。打楽器奏者としては、伊左治直、坂野嘉彦近藤浩平野村誠などの作品を世界初演。06年度NHK教育テレビ「あいのて」に黄色のあいのてさんとしてレギュラー出演。1998年より、鍵ハモ・オーケストラ「P−ブロッ」にゲストとして参加するなど、頻繁に鍵ハモの演 奏を行う。2009 年には、ロンドンの国際交流基金にて、Andrew Melvinの鍵ハモ3 重奏のための「トリオ」を世界初演。著書に「CDブック音楽ってどうやるの」(野村誠と共著:あおぞら音楽社)がある。現在、京都女子大学京都造形芸術大学非常勤講師。

鈴木潤 SUZUKI Jun
バス鍵ハモの第一人者。京都大学哲学科卒業後(卒業論文のテーマは「リズム概念の拡大と発展」)、レゲエ・キーボーディストとして、ジャマイカおよび日本のレゲエアーティストのツアー・レコーディング等をサポート。その後、R&B、ブラジル音楽のキーボーディストしても活躍。鍵ハモ・オーケストラ「P−ブロッ」は、結成時より参加し、バス鍵ハモの演奏技術を開拓し、イギリス、フランスでの公演で、絶賛される。11 年、メロディオンフェスティバルに出演し、バス鍵ハモの魅力を披露。著書に「こどもの器楽合奏曲集」、「音・リズム・からだ」(民衆社)ほか。参加CD多数。現在、京都女子大学京都造形芸術大学非常勤講師。
主催:日本現代音楽協会(国際現代音楽協会日本支部


協力:山村サロン
協賛:株式会社鈴木楽器製作所
助成:芸術文化振興基金
公益財団法人 花王芸術・科学財団
公益財団法人ロームミュージックファンデーション
一般社団法人 日本音楽著作権協会JASRAC