野村誠&近藤浩平&ロス・ケリー ポータブル・コンチェルト 2012年

2012年1月21日に神戸のジーベックホールでコンサートをします。

野村誠近藤浩平&ロス・ケリー
ポータブル・コンチェルト
持ち運びできる協奏曲の世界

チラシはこちら
http://koheikondo.com/xebec20120121.pdf

企画概要

通常、「協奏曲(コンチェルト)」といえば、独奏がオーケストラをバックに、大ホールでオーケストラ演奏会という大掛かりな催しもので演奏する形態です。ところが、この企画では、本格的コンサートのレパートリーとなる本格的な内容の協奏曲でありながら、数人の音楽家が持ち運びのしやすい楽器を持って出かけていけば、小さなサロンでも、ライブハウスでも、山小屋でも、自宅でも、野外でも、低予算で原曲編成のままの出前演奏が可能な編成で書かれた「協奏曲」を作曲。コンサートホールにも、様々な場所にも展開できる、新しい協奏曲の世界を、3人の現代音楽作曲家が、ジーベックホールから出発させます。

企画背景

今なお魅力的な「協奏曲」という形
現在、クラシックのオーケストラの演奏会は数えきれないほど連日、開催されています。ベートーヴェンショパンブラームスチャイコフスキーなど西洋クラシック音楽の一握りの名作協奏曲は名曲として数えきれないほど繰り返し演奏されています。
ソリストがオーケストラと張りあって共演する「協奏曲」というものが、今も魅力的で愛聴される形態であるということです。

「協奏曲」の可能性
協奏曲という形態は、作曲家にも、観客にも、演奏家にも魅力的なものであり、
現在の音楽においても、新しい「協奏曲」の音楽的可能性は尽きません。
ところが、大部分のオーケストラの演奏会は、過去のクラシック名曲を繰り返し演奏することにしか関心がなく、新しい音楽作品が生まれる場とはなっていません。
クラシック演奏会の中のごく希少な、現代作品演奏機会は、専門家の評価する一握りの現代音楽が、音楽ファンの中でも18世紀や19世紀のクラシック音楽を愛好する最も保守的ともいえる客層を相手に、大変、大きな経費をかけて初演されるというミスマッチングを起こしているのが実情です。

現代の作曲家にとってあまりに難しい「協奏曲」初演
オーケストラを使った協奏曲の初演機会を得られるのは現代の数多くの作曲家のうち、ごく一部の作曲家だけです。大多数の作曲家にとって「協奏曲」の新作発表は経済的にも実現の難しいものなのが実情です。

意欲的なソリストも新しい「協奏曲」を演奏する自由がない実情
新しい現代の音楽にチャレンジする野心的な意欲を持った素晴らしいソリストも多数いますが、そのソリストが、オーケストラ演奏会に出演機会を得る時には、曲目としてクラシックの有名名曲を求められるのが通常で、自身の演奏したい新しい協奏曲を曲目として選択する自由はほとんど無いのが実情です。

「協奏曲」をクラシック音楽オーケストラ演奏会から外に持ち出す
=「ポータブル・コンチェルト」(持ち運びできる協奏曲)


? 「協奏曲」をソリストとフル編成オーケストラとの共演ではなく、ソリストと小編成のアンサンブルとの共演で作曲します。

? 小編成アンサンブルは、持ち運びし易い打楽器や鍵盤ハーモニカなどで編成します。

これで、ソリストと、数人の音楽家が、楽器を持ってでかければ、手軽にどこででも演奏できる「協奏曲」が出来ます。
オーケストラをピアノ編曲などして協奏曲を演奏するような代用ではなくオリジナル編成の原曲のままで、持ち運びできる協奏曲です。

単に、演奏機会が作り易いように手軽にするという消極的なものではありません。協奏曲のオーケストラにあたる部分が、少人数の緻密なアンサンブルと、オリジナルな楽器編成による、より新しい音色と発想で作曲される可能性を生み出すことになります。

ソリストが、日常レパートリーにできる「ポータブル・コンチェルト」

この小編成の「協奏曲」は、ソリストと数人のアンサンブルが一緒に出かければ、どこでも「協奏曲」のコンサートができます。
コンサートホールで上演されるに相応しい本格的な協奏曲としての内容と音響を備えていながら、小さなサロンでも、ライブハウスでも、山荘やホテルなどでも、学校や様々な施設でも、野外や公共空間でさえ、低予算で原曲編成のままの出前演奏が可能です。
ソリストが、新しい協奏曲を自分のレパートリーとして仕上げるには、大変な労力がかかります。しかし、新しい現代の協奏曲をレパートリーにしても、大多数の演奏家は、それをオーケストラと繰り返し共演できる機会を持つことは困難です。
ポータブル・コンチェルトであれば、ソリストは、自分の持ち曲として、あちこちで繰り返し演奏できます。さらに、小編成で観客との距離が近いことで、独奏の迫力は、大きな会場の遠くのステージより伝わりやすいはずです。

聴く人のいる所へ出かけて行く「ポータブル・コンチェルト」

クラシックのオーケストラ演奏会の主催者やマネジメントを説得し、クラシック名曲を聴くつもりで来場したお客さんに新しい音楽を聴かせるというハードルを正面から越えなくても、「ポータブル・コンチェルト」は、ソリストが大小様々なコンサートで再演を重ねていく日常レパートリーとしての「協奏曲」としていくことが出来ます。
ライブハウスなどどこへでも持っていき、アウトリーチ活動の場での演奏も出来ます。
現代の作曲家の本格的「協奏曲」の演奏が、新しい音楽に興味のある聴き手を得る為に、大小様々な演奏機会へ出かけて行くことが出来るのです。
この新しい「協奏曲」は、コンサートホールで開催される本格的なコンサートのレパートリーへと進出していく可能性をもつと同時に、ライブハウスやサロンコンサートなど様々な場所に持ち出されてライブで聴かれる「協奏曲」という新しい体験の場を創出します。
このような両面の広がりの可能性を持った「ポータブル・コンチェルト」の世界初演
会場として、ジーベックホールは非常にふさわしい性格を持った会場だと私達は考えています。

「現代音楽」後の新しい方向へ進む2人の作曲家による企画です。

野村誠は、従来のクラシックや現代音楽の演奏会の音楽家と観客の関係の枠組みを変え、新しい場を生み出す作曲家として世界で注目されています。また、アジアをはじめ世界各地の音楽家とのコラボレーションを続け、子供やお年寄りや特別な音楽の専門家でなくても参加できるような音楽・作曲で、新しく豊穣な音楽を生み出しています。その作品は、音楽として非常に新鮮で楽しいものです。

近藤浩平は、ごく普通の演奏会の中で、演奏家が日常のレパートリーとして繰り返し演奏できるような深さのある作品を送り出すことで、普段のコンサートで演奏されるレパートリーを過去の西洋の名曲の繰り返しから、静かに新しい同時代の音楽に置き換え、クラシック/現代音楽のコンサートを私達の時代の文化や感情や世界観を伝える音楽の場に変えていこうという考え方に拠って活動している作曲家です。

作曲家プロフィール

野村 誠(のむら まこと、1968年 - )8歳より作曲を始める。92年に、自身のバンド「プーフー」で、Epic/Sony RecordsよりCDデビュー。その後、イギリス・ヨーク大学大学院で学ぶ。第1回アサヒビール芸術賞、JCC ART AWARDSの現代音楽部門最優秀賞などを受賞。作曲活動は、オーケストラ、室内楽ガムラン和楽器など幅広く、お年寄りや子どもなどとの共同作曲作品もある。著書に「路上日記」(ペヨトル工房)、「即興演奏ってどうやるの」(あおぞら音楽社)、CDに「せみ」(Steinhand)、「INTERMEZZO」(Airplanelabel)、「しょうぎ交響曲の誕生」など。鍵盤ハーモニカのアンサンブル「P-ブロッ」での演奏活動、ピアノなどによる即興演奏なども行う。05年はインドネシアでタイと日本との3カ国アートプロジェクトをプロデュースした。「あいのて」(NHK教育・番組)監修、「赤のあいのてさん」として出演。

近藤浩平(こんどう こうへい 1965年-)関西学院大学文学部美学科にて畑道也氏に音楽学を学ぶ。作曲は独学。2008年日本の音楽展・作曲賞入選。2010年ベルリン・ドイツ・オペラ<Klang der Welt Ostasien(世界の音・東アジア)>作曲コンクール第2位(室内楽)。2006年にはピアノ協奏曲が福村麻矢氏の独奏、パオロ・フェッラーラ氏指揮の関西フィルハーモニー管弦楽団によって初演された。江森國友氏、森永かず子氏の詩による歌曲や、野村誠氏の委嘱による鍵盤ハーモニカの為の作品などもある。作品はマザーアース、日本作曲家協議会などから出版されている。日本作曲家協議会会員、日本現代音楽協会会員。兵庫県宝塚市在住。