日本の国土と生活は7,7円しか価値が無いのか?

朝日新聞の2011年11月23日朝刊1面記事 原発コスト「4割高」について、朝日新聞に下記の意見を送った。


原発の発電コスト7.7円に上昇という取り上げ方では経済、電力コストに関心のある一部の読者の目しかひかない記事になってしまっています。
本文中に、書かれているように事故の発生確率を1基あたり500年に1回と試算されています。
もし、この記事の見出しが、「内閣府原子力委員会原発事故の発生確率を1基あたり500年に1回と評価」
だったら、多くの読者が問題に気付いたかと思います。
この数字の意味は、日本54基の原発がそれぞれ500年に1回づつ大事故を起こしたら、平均10年に一​度づつ、原発大事故が起こる計算になります。
この頻度で原発大事故が起これば日本では数百年で住む国土がなくなりますが、住む場所が失われる致命的で金額換算できない永続的喪失を、損害補償金額換算して発電コストとしてカウントするという、この原発コストの試算の考え方の基本的な矛盾を御社の記事は捉えておらず、政府がなるべく無難に見えるように作文した発表文書をたたなぞったからこんな記事になっているのです。
発表側のリリースの書き写した記事ではなく、その中の情報をあらためて再構成して意味を見抜いた深い報道を御社には期待します。

また、下記のような要望も送った。

脱原発関係での電力供給の記事が、原子力依存か再生可能エネルギーかというエネルギー供給論争に陥っているものを多くみかけますが、別の供給軸についての記事が不足しています。
日本の照明をすべてLEDに置き換えた場合、電力需要は9%減のポテンシャルがあるとの日本エネルギー経済研究所のレポートが出ています。
http://eneken.ieej.or.jp/data/3862.pdf
実はこれは、家庭用太陽光発電の普及以上に大きなインパクトのある代替策になりえるスケールのものです。
また、
コージェネレーションが家庭にも普及しはじめました。
エコウィルエネファーム)しかし、これを家庭で使用した場合の余剰電力が、余剰電力買い取り制度の対象になっておらず、また導入している世帯では太陽光発電の売電が42円ではなく34円に下げられるという電力会社によるコージェネ営業妨害のような施策により、一般家庭への導入が阻害されています。
この方面での報道取り上げの強化を期待します