2011年11月22日付讀賣新聞社説

2011年11月22日付・読売社説は「もんじゅ」を下記のように擁護した。
今後、数十年かかっても安全な成功の目途が立たず、最終的な放射性廃棄物の処理方法の原理さえ発見されないまま、コストダウンと技術開発が進む新エネルギーへの予算を圧迫し、ただでさえ厳しい国家財政に無駄な負担を残し、将来にわたって巨大なリスクを生むこのような「もんじゅ」を讀賣新聞が躍起になって擁護する理由は何であろうか?
電力業界の中の原子力関係者と讀賣新聞の癒着がいかに根深いかを示している。
このような新聞に、原子力のリスクについての信用できる報道が可能とは思えない。

2011年11月22日の讀賣新聞社説を以下に全文、載せる。皆さんは如何思いだろうか?
このような社説と報道ばかりを見ている讀賣新聞1紙読者は、まるで報道統制のしかれた独裁国家で政府系新聞だけを購読しているくらいの政治的判断力しか持ちえないと思う。


2011年11月22日の讀賣新聞社説
次世代の原子炉を目指す高速増殖炉もんじゅ」について、政府の行政刷新会議が、計画存続の是非を含め、抜本的に見直すよう提言した。

 刷新会議が20日に始めた仕分け作業で、与党議員ら7人の仕分け人が、「これまでに1兆円以上の予算をつぎ込んだが、何の成果もない」などと主張した。

 だが、わずか数時間の議論は事業予算の効率的な使い方が焦点となり、技術的な検討も、長期的なエネルギー政策の観点からの検証も、ほとんどなかった。

 東京電力福島第一原子力発電所事故後の「脱原発」の風潮を踏まえたパフォーマンスと言われても仕方があるまい。

 「もんじゅ」は1994年に運転を開始して以来、「ナトリウム漏れ事故」などで、ほとんど停止している状態だ。維持費だけでも年に200億円程度を要する。

 研究開発を担うのは、独立行政法人日本原子力研究開発機構だが、公的な研究組織ゆえに緊張感を欠いてこなかったか。経費の無駄はなかったか。仕分けで、そう指摘されたのは、もっともだ。

 しかし、日本が高速増殖炉を推進してきたのは、ウラン資源の有効活用を目指しているからだ。今の原子炉では燃やせないウランを燃料に変えられる。資源に乏しい日本の将来を見据えている。

 中国、インドなども同型の原子炉を開発中で、中国は今夏、実験段階の発電を始めている。国際的な研究開発拠点として、欧米からは、日本の「もんじゅ」の安定運転に関心が寄せられている。

 こうした経緯や動向を考慮しないのは問題だ。

 原子力政策については、政府のエネルギー・環境会議や原子力委員会などが、来夏を目途に見直している。「もんじゅ」も、その中で位置づけられるはずだ。

 長期的観点で原子力を議論してエネルギーの最良の組み合わせを決める必要がある。

 だが、枝野経済産業相は、仕分けの場で、原発の全研究費を再生可能エネルギーの研究に投じれば電力はまかない得ると述べた。今の技術水準からは容易なことではない。無責任ではないか。

 今回の仕分けは「政策提言型仕分け」と銘打たれている。原子力政策からは、「もんじゅ」のほかに核融合の研究開発なども対象とされた。だが、やはり、予算の効率化に終始した。

 重要政策は、多面的な論議を経て決められるべきものだ。仕分けには限界がある。

(2011年11月22日01時16分 読売新聞)