広島と福島 原爆と原発

今日は、広島に原爆が投下された日である。
長い月日が経ったが広島の原爆の被害は未だ解明されていない。
原爆症の基準さえも決着がついていない。

福島原発事故放射線による影響、被害の解明と決着と補償は、広島に原爆が落とされてから今日までの月日をもっても決着はつかないだろう。
低線量の放射線の被害は、放射線以外の要因でも起こりうる疾病、傾向障害、遺伝障害との区別は困難で、発生率の差異として出てくるので、個々の健康障害事例が、福島原発放射線によるものか、あるいは、それが無くても起こったものであるかを識別することは難しい。
広島、長崎の原爆症認定で起こってきたことと同様である。
しかも、放射線による健康被害を持っているということを認定されるということは、個人としては、就労、結婚など様々な社会生活での不利や、本人の心の面でのマイナスも恐れるもので、触れたくないところでもあるという厄介な問題なのだ。

2011年7月28日の衆議院厚生労働委員会での児玉龍彦教授(東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)の陳述によれば、福島原発放射線総量は以下のとおり。

・熱量からの計算では広島原爆の29.6個分に相当するものが漏出
・ウラン換算では20個分のものが漏出
・原爆による放射能の残存量は1年で1000分の1程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は10分の1程度にしかならない

この総量の違いがどれほどのものか文章では掴みにくいという方は、是非グラフにして面積比で見てほしい。
別図

広島、長崎の原爆投下を特殊爆弾としつつ情報を隠し、戦況を隠した大本営と、 既に膨大な放射性物質の放出をともなう爆発が起こっているのに「格納容器の健全性は保たれている」と、放射性物質が大量に環境中に出ている状況を隠した政府、東電の対応は似ている。

原子力発電というものは、核兵器のコストを民生用発電費用と“どんぶり勘定¨にすることで、核兵器の巨大な軍事費を隠す為のものである。

広島の原爆にかかわる私の作品に、連弾の為の組曲「島」がある。
こちらで聴くことができる。
http://www.myspace.com/kondokohei/music/songs/the-island-for-piano-duo-61240846
楽譜はマザーアースから出版されている。
ピアノデュオの演奏会はたくさんあるが、このような社会状況の中でも、大多数のクラシックの演奏家達は、依然として、漫然と優雅に18,19、20世紀のクラシック音楽作品のみをのほほんとプログラムに載せ続けるばかりで、このような作品を取り上げようとする演奏家は滅多にいない。