産業界がするべきこと

第2次産業と第3次産業の企業が原発無くしたら産業が空洞化すると言っているが、これらの企業経営者は原発事故で第1次産業が空洞化するのは平気らしい。
原発は事故を起こすという実例を見ながら再発のリスクを無視することは管理能力の無さであり、リスクの無い代替処置へ素早く手段をシフトしないのは、市場と社会環境の状況に合わせて業態を変化させられずにルーチンワークにしがみつくことであり優れた経済人、企業人としてはあってはならないことだ。
原発の不安定性が顕在化したことにより既存電力会社の電力供給が不安定になるのであれば、自家発電やPPSを成長させるなど産業界として、やるべき対策は多数あると思う。
既存電力会社の電力は国際的には料金が高いという。国際競争力の為、生産コストのダウンが必要であるのなら、既存電力会社よりも安い電力供給を求めるくらいの経営努力が必要なのではないだろうか。
安易に海外に逃げるというが、原発を止めた状態の日本よりも、移転先の発展途上国のほうが電力供給事情が良いとは限らない。人件費カットで、もともと海外に生産拠点を移す考えであった計画を、原発擁護の材料にこじつけているのだろうか。
今回の福島原発事故による被害総額を補償する正当なコストを今後の電力料金に乗せたらどれだけの料金になるであろうか?次の原発事故を想定して原発事故賠責保険をつくりそのコストを電力コストに加えたらどうなるであろうか?
CSRをまじめに受けとめる企業であれば原発依存を続けるわけにはいかない。

福島県を中心とした被害地域の生活環境、農業、畜産業、地域文化などへの今回の原発事故の将来までの累計損害規模を算出し、それに精神的苦痛を与えた慰謝料を加えたら、どれほどの損害になるだろうか?金で買えない土地と暮らしの喪失を金額換算もできない。
本来なら福島県から避難する人々には、同じレベルの生産力を持つ代替地と生活再開費用、同等の生活環境が、加害者によって用意され、さらに慰謝料も払われなければならないが、いまだにそのような補償が行われる気配もない。
今後、原発依存を続けた場合、この途方もない原発事故被災というものが再発する可能性は、過去の原発事故発生率を統計的に計算すれば極めて高い。

日本の財界と政府は、福島原発事故の加害責任を踏み倒したまま、また次の、加害可能性をもった原発の稼働を続けるのであろうか?

電力供給の安定は大切だということは当然である。
しかし、それなら、原発を1日でも早く代替する為、突貫工事でガス発電所やその他の発電設備の新設や強化が進められているべきだし、LPGなどの供給確保や料金折衝に外交も全力で動いているべきだし、再生可能エネルギーのコストダウンが国家的な課題として全力のスピードで進められるべきだ。
太陽光などの利用に土地が必要であれば、公有地などの利用は率先して進めるべきだし、農業などに影響を与えず転用可能な土地、たとえばゴルフ場やグリーンピアなどのような施設も洗い出して、これまでの国家事業のような強力さで進めるべきだ。原発立地地域には代替の雇用創出策、経済振興策を上記と組み合わせながら急速に進めるべきだ。