事故は発生確率で想定するべき

発電設備や工業設備の安全評価では、個々の事故原因の事前想定が難しくても、生産設備での不良品発生率や、交通事故のように確率で想定することが重要です。個々の交通事故や不良品発生の原因は多様で、それぞれ個別の事象としては予想できないですが、保険会社などが保険の設計で計算するように、たくさんの事象の中で見れば事故の発生頻度というのはかなり読める数字なってきますね。
確率で考えますと、過去の国内での原発ののべ運転年数と事故発生件数からの計算で、原子力委員会原発1基あたりのシビアアクシデント発生確率を500年に1回と試算しています。年率0,2%の事故発生率ですね。10基あれば年率2%、50基あれば年率10%ですね。わずか半世紀強の原発の歴史で、JCOの事故やセラフィールドチェルノブイリ、東電原発事故と、多くの事故実績がありますので、これは妥当でしょう。
地震津波を想定していたら、それ以外の、たとえば、コンピュータ制御系だとか、金属疲労だとか、センサーなどの誤動作とか、次の事故は全く別の方向から来るでしょう。
結局、事故があっても被害規模が社会的に受け入れられる規模の設備しか作ってはいけないのです。
例えば、石油であれば、ガソリンスタンドは保管総量の制約などがあり、タンクでは住宅に類焼しない為ある距離をとって建築しなければならないなどの事故発生を前提とした制約があります。

原発をやめるには再生可能エネルギーでは非力で経済的に現実的に難しいということを言う方がいます。
たしかに再生可能エネルギーでの供給は短期的には2割程度でしょうし、思い切った大量導入をしないと量産効果によるコストダウンが実現しません。
しかし、化石燃料を使いつつその利用効率を格段に向上させることで消費量を下げていくという方向の話が、代替エネルギー源の議論では欠落しすぎです。
集中発電で送電した場合の一次エネルギー利用率が30%程度に対して、燃料電池エコウィルのようなコージェネの場合、一次エネルギー利用率が80%以上になってくるので、化石燃料のエネルギー利用率を上げて消費量を下げることができます。

原発推進継続を主張する方には、集中型の発電と供給を前提とした考え方から離れられない方が多く見受けられます。
それは集中発電を生業としているからです。
需要側で発電してしまうオンサイト発電、分散型エネルギー利用の増大は、電力会社の権益としての「電力需要」を縮小させるものなので、電力関係者は考えたくないことなのです。

それでも分散型は現実的、経済的でないと主張する方がいますが、これはエネルギー業界で今から何が起きようとしているかビジネストレンドをご存じないか、変化を避けたい立場の方々です。

私が燃料電池コージェネについて書いたのは脱原発派の夢の話ではなく、水素燃料電池に関しては2015年には民生用の燃料電池車も一般発売になり、水素供給のインフラ整備が進行するなど既に関係業界と経済産業省などが動いています。エネファームも数年後には量産効果で100万円くらいの価格が目標とされています。これは経済産業省の方から直接聞いています。また、コージェネ普及については既に例えば大阪ガスが2012年には家庭用コージェネ1万戸や企業への導入により30万Kwの分散型電源を供給する経営計画を発表しています。またガス空調なども拡販されていきます。

私の自宅では、太陽光発電エコウィル(ガスエンジンの家庭用マイクロコージェネレーション)を導入し、全照明のLED化、暖房を電気のエアコンからガスの温水床暖房に切り換えし、既に電力自給率300%を達成し、月間の電気代が1800円、売電収入が10000円以上を達成しています。
問題は技術ではなく価格だけです。価格の問題は量産により解決します。