日本の原発大事故は77年に1回と推計する

原発大事故発生確率を非常に大雑把に計算してみた。1954年に世界最初の1基。現在、世界で439基。この間の基数増加ペースを等速度とみなすと57年間平均220基が稼働したのに相当=延べ12540年稼働。この間に、スリーマイル、チェルノブイリ、福島と大事故発生が3回。原発1基あたり4180年に1回の事故発生実績数字。世界で439基の現状維持で稼働を続けた場合は9.5年に1回、世界のどこかで原発大事故が発生する確率。日本国内で54基の現状維持で継続運転すると仮定すると77年に1回の原発大事故発生する確率となる。

製造業などで不良品の発生率の管理をしている方や、保険会社などで事故の発生率を計算している方なら、原因の如何、事故発生の要因の多様な内容に関わらず、事故の発生率というものは、事象の数が多いほど、かなり現実の数字に近いということを認識しておられるだろうから、ぞっとする数字であろうと思う。

これ以外に、JCO事故や、セラフィールド事故のような関連施設の事故、ウラン採掘に伴う被曝事故、放射性廃棄物処理の際の被曝事故、放射能漏れ事故、政治・戦争・テロによる事故、軽微な放射能漏れやトラブルだけでも立地周辺の風評被害拡大も考えられる。

日本で約77年に一度の確率という原発大事故が、1963年に日本最初の原子炉が出来てから48年で発生した。
これは事故発生率であるから次の事故は、77年後というわけではなく、今年かもしれないし10年後かもしれないし、運よく100年間起こらないかもしれない。

原発を稼働するということは、日本の国土で、77年に一度づつのペースで福島原発事故なみの放射能汚染が起こるリスクを覚悟しなければならないということである。このペースで生活基盤となる土地を失っていくことになる。
それは、福井の原発で起こって関西、中部地方で大きな被害となり琵琶湖を汚染するかもしれないし、九州でおこるかもしれないし、北海道で発生して農業、酪農、観光業の道経済を壊滅させるかもしれない。

このリスクを、エネルギー供給のうちの、そのうちの系統電力供給のうちの2〜3割ほどを占めるにすぎない原子力のシェアを維持する為に、やむをえないリスクとして引き続き引き受けるか(原発維持)、短期間でガス等他の電源を緊急増強して置き換えてリスクを排除するのか(迅速な脱原発)、ゆっくりと原発は数十年かけて減らしその間数十年は事故リスクを容認するのか(脱原発依存)、エネルギーシフトまでの多少の電力供給が余力の無い状況は社会的に受容可能と判断して原発のリスクをただちに排除するのか(急速な脱原発あるは即停止)。
この確率数字を眺めながら、覚悟して判断すべきである。



・・・・クセナキスの音楽のことを考えながら、原発のことを考えてみた。日本は、原発の密度が高いので、事象が発生する密度も高いだろう。

新エネルギー、省エネルギー、分散型エネルギーの新ビジネスへの投資推進とそれによる国内雇用創出、新産業の育成、内需拡大、輸出産業、技術の育成、地産地消第一次産業の再興、日本製ブランドイメージ、電力料金の自由競争導入、医療費の問題、外国人観光客の獲得、将来の国家支出の抑制。これらすべてにとってもはや原発は邪魔な存在でしかない。

長い将来を見た時、世界の経済競争の中で、日本が勝ち組である時代もあれば負け組の時もある。工業大国として海外から食品をどんどん買える時代もあれば、工業の国際競争力が落ちてしまう時代もあるだろう。その為にも、第一次産業の基盤を喪失させる原発は残してはいけない。