国母選手問題における競技団体の対応の失態

今回はスキー連盟のトップのPR対応が最悪だった。
「不愉快」「五輪のあり方」の見解が個人的な感覚に基づいていて、明確なルール解釈を語っていない。

日刊スポーツ記事から
国母和宏選手の服装問題で、全日本スキー連盟(SAJ)の伊藤義郎会長(83)は12日(日本時間13日)、「社会的に大変な批判を受けた。推薦した責任を感じる」と述べた。
 国母選手については、「(スノーボードの)技術はそれなりのものがあり、人柄も色々あると思うが、五輪には五輪のあり方がある。私自身も大いに不愉快に感じた」と改めて服装の乱れを批判した。 』
全日本スキー連盟(SAJ)スノーボード担当理事の林辰男氏(57)が、服装の乱れと公式会見での態度が問題となっている国母に注意を与えていたことを明かした。その上で、スノーボード日本代表の萩原文和監督(52)に「今度何か起こしたら(日本に)帰せ」と指示。』

初動で明確に、
「服装については、個人によって様々な価値観をお持ちの方がおられるとは思いますが、国母選手の着用は我々のあらかじめ定めた規則に反しているとは判定できません。
選手には、各人のベストの尽くし方があります。
それぞれ世界の舞台に臨む選手としての誇りをもってオリンピックに臨んでもらうよう期待しております。」
というような短いコメントだけを発して、
悪意あるメディアからの上げ足を取られやすいリスクのある本人記者会見は開かず、それ以上、下手に無駄な動きをしないのが正解だったと思います。

広報担当者、PR担当者には、何より冷静な初動対応が必要ですね。


スキー連盟会長の軽率な発言の責任は大きい。


伊藤義郎会長の「五輪には五輪のあり方がある。私自身も大いに不愉快に感じた」という主観的な発言で、
あの服装は不愉快で五輪精神に反するという一部の印象批判にお墨付きを与えてしまい、興味本位のメディアを勢いづかせ競技団体として引っ込みがつかなくなった大きな原因になったように思います。
縦社会のきつい競技団体のスキー連盟の体質からして、会長が「不快」と言っていることに、下の人達が「私は不快とは思いませんが」と言える雰囲気はなかったでしょう。
同行していてなんとも思わなかった現場の人達も、上の人達から言われて
「とくに問題な服装とは思わない」と反論できる組織だっただろうか?

組織のトップである人は、自分の主観的な言葉が、組織の中で決定的な影響力をもってしまうことを自覚しなければなりませんし、
自分の感想が組織としての統一見解になってしまうということを認識していなければなりません。
伊藤会長の軽率な発言には騒動と処分を大きくした大きな責任があります。

林理事は、
「服装の乱れと公式会見での態度が問題となっている国母に注意を与えていたことを明かした」
とあるが、
「注意を与えた」とマスコミに明かすべきではなかった。
理事という立場の人が、こういう表現をすると、公的な叱責処分
として報道されてしまい、連盟は国母選手の服装に非を認めたことになってしまいます。


五輪の場合、視聴者の層が極端に広いので無難なスタイルでお願いしますと、内々に国母選手に事前要請するのは構わないが、
それをマスコミに不用意な形で漏らすのは失態だと思います。