あのころの山 一原有徳著

あのころの山
一原有徳著 北海道撮影社刊 昭和51年発行

山というのは、変わらないようで、実は意外と変化するもので、学生の時に訪れた時に印象に残っていた草原の尾根が、最近行くと、鬱蒼とした森になっていたり、あるいは、かってよく使われた峠道が廃道になって荒れ果てていたり、目立つ大木がすでに無かったり、美しい渓流で遊んだ場所が薮につつまれた細流になってしまっていたりしますし、いつも遊んでいた裏山の禿げ山が住宅地になっていたりもします。
とくに、近郊の山ではとくにここ30年ほどの間に破壊も激しい。
この本に出てくる北海道の山々の、かっての風景は、もちろん私は見たことがないものだが、もう2度と戻ってこない移り変わり行く山の風景への筆者の思いが、自分が20年、30年前に見た、もう戻らないその時の山々の風景と重なってきて胸をしめつける。