関西現代音楽交流協会 本日5月17日(日)

今日は、関西現代音楽交流協会の演奏会です。

関西現代音楽交流協会(KMMA)
第37回現代音楽作品の夕べ
2009年5月17日(日)15:00 開演(14:30開場)トントレフ・ヒコ
主催:関西現代音楽交流協会
後援:大阪音楽大学 大阪音楽大学同窓会≪幸楽会≫(社)日本作曲家協議会
協力:トントレフ・ヒコ

トントレフ・ヒコは、
大阪市東淀川区下新庄1−7−21
阪急「淡路」駅下車約10分

近藤 浩平  海とカルスト 作品98
       The sea and karst topography op.98
       風変わりな場所 作品97
Strange Places op.97
        ピアノ:岩崎宇紀

中澤 道子 SATSUKI ~ for Marimba solo ~        
? 立夏・? 小満・? 芒種
マリンバ:後藤由里子

       ・・・・ 休 憩 ・・・・

内藤 正彦   イクストランへの旅
Journey To Ixtlan
ピアノ:吉野正江

朴 守賢    コ・ト・バ
KO・TO・BA
三十八度線 
The line 38
ピアノ:竹内愛未
声:朴守賢 西村尚美 杉本徹
       
平野 達也   「ロゴグラボス〜散文詩家」ユーフォニアム4重奏のための
「LOGOGLABOS」 for Euphonium Quartet
ユーフォニアム4重奏:euphonium group ‘GROW’

* 演奏会終了後、小レセプションがございます。
曲目解説 / 作曲者プロフィール

近藤 浩平 KONDO Kohei

海とカルスト 作品98(初演)
左手の為の作品。カルストとは、石灰岩地帯特有の地形。秋吉台鈴鹿山地の霊仙山、藤原岳、海外ではアイルランドスロベニアが有名。石灰岩ははるか昔の海生生物の殻が起源だという。

風変わりな場所 作品97
第1曲:風向きの変わる岬 第2曲:峠の廃村 第3曲:名ばかり国道の夜
第4曲:南から来た旅行者 第5曲:渓流の略奪点 第6曲:西から来た旅行者
第7曲:猪達のいる所 第8曲:森の中の丸い岩 第9曲:東から来た旅行者
第10曲:姿の見えない鳥 第11曲:青い沼
雑然とした現代の田舎の風景を見るような旅の音楽。日本でも海外でも、僻地でも、近隣の田舎でも、現代では、ロマンチックな旅人が理想化するような典型的なローカルな風景は見られなくなりつつある。

近藤 浩平 
1965年兵庫県宝塚市生まれ。関西学院大学文学部美学科にて畑道也氏に音楽学を学ぶ。
国際ピアノデュオコンクール作曲部門入選。2008年「日本の音楽展・作曲賞」入選。山や自然に関わる作品が多い。「日本の作曲家2007」(JFC主催)「アジアの伝統・現代」(JFC主催)などでも作品が取り上げられている。 2006年にはピアノ協奏曲が福村麻矢の独奏、パオロ・フェッラーラ指揮の関西フィルハーモニー管弦楽団によって初演された。作品はマザーアース、日本作曲家協議会、リコーダーJPピティナから出版されている。(社)日本作曲家協議会会員。 http://kondokohei.hp.infoseek.co.jp


中澤 道子 NAKAZAWA Michiko

SATSUKI ~for Marimba solo~
? 立夏・? 小満・? 芒種
短い桜の季節のあと一斉に芽吹き始める木々や草花、囀り始める鳥達..。温かな陽射しの中、それらは何とキラキラ輝いている事でしょう! 塞ぎ込み、沈みがちだった冬の心は、その目を見張る生命の逞しさに、一挙に大きく開かれます。 四季の中でこの時期が最も好きな私は、そんな漲る生命の些細な変化が頼もしく、嬉しくてたまりません。 この作品は、春から夏への移ろいを太陽暦で三つに区切り、?立夏/生命の芽生える時、?小満/雨の恵みの時、?芒種/生命を繋ぐ時..として、急・緩・急、それぞれの時節を表現しています。マリンバと云う楽器は、樹齢を重ねた樹から造られた楽器です、幾度もの「SATSUKI(皐月)」を経たこの楽器で、芽吹く生命の輝きを 感じて頂ければ幸いです。演奏に当りお尽力頂きましたマリンバ奏者の後藤由里子氏に、心より深く御礼申し上げます。

中澤 道子 
大阪音楽大学、同大学院作曲専攻修了、鈴木英明氏に師事。関西を中心に作・編曲を行なう。現在、大阪音楽大学作曲科非常勤講師。日本作曲家協議会、日本女性作曲家連盟、21世紀創作歌曲の会「まほろば」、作曲家集団「S'e」、加古川楽家協会、各会員。
<主要作品>■オペラ「織部焼文様」■ミュージカル「クリスマスキャロル」「雪の女王」■マリンバの為の「日本の四季」■マリンバと打楽器の為の「ジャポネスク ? 〜?」■朗読と音楽「源氏物語/若紫」他。


内藤 正彦 NAITO Masahiko      

イクストランへの旅
この曲は、二つの異なる旋法を組み合わせた響きを追求することを目的に作曲されました。和声法では禁じられる空虚五度の和音による短い序奏に続いてあわられるテーマでは、Eを主音とするエオリア旋法による左手のアルペジオの上に、Aを主音とするドーリア旋法の旋律が右手で奏でられます。その結果、バスと旋律の間には、完全四度の響きが常に響くことになります。第二主題や中間部では、長七度の音程を含む和音がそれに加わり、さらに推移や終結部では、増四度を含む和音が鳴らされます。その結果、全曲を通して、通常の機能和声の響きとは本質的に異なるサウンドが響いていきます。
なおタイトルは、カルロス・カスタネダの「呪師に成る(イクストランへの旅)」から採られています。

内藤 正彦 
大阪音楽大学短期大学部専攻科作曲専攻卒業。 作曲を田中邦彦、景山伸夫、藤島昌壽氏に師事。 関西現代音楽交流協会会員。


朴 守賢 PARK , Soo-Hyun  

コ・ト・バ
2008年12月に朗読音楽作品展を開催した折に書き下ろした作品です。谷川俊太郎の「生きる」と作曲者自身の「コトバ」にまつわるテキストを混ぜたメッセージをミニマルなピアノに合わせて放ちます。

三十八度線 
「コ・ト・バ」が初演時に好評だったこともあり、このシリーズをもう一つ作ろうと作曲したのが本作です。同じ在日コリアンの詩人の方から「在日詩の歌曲」の委嘱があり、詩集を預かったのですが、この金水善の「三十八度線」を読んだ時に、「コ・ト・バ」形式にうまくハマったので、先にこの朗読音楽を書く事にしたのです。ここでもオリジナルのテキストも混ぜつつ、最後は任意の楽器での演奏部が付きます。

2曲とも、テキストの意味が強く生きたまま投影されているので、そのテキストも音楽として絡めて聴いていただければ幸いです。

朴 守賢 
在日コリアン3世。大阪音楽大学作曲専攻出身。アジア音楽祭2003、大邱国際現代音楽祭、ISCM(国際現代音楽協会)音楽祭「World New Music Days 2009」スウェーデン大会、韓国社会人吹奏楽コンクール2009年度指定課題曲など、各地で作品が取り上げられている。2008年朗読音楽作品展開催、ソロアルバム同時出版。映画音楽の作曲や、クラリネットや指揮の演奏活動、世界各地の芸術祭での国際交流でも活躍。ティーダ出版、赤渋楽譜出版、マザーアース等から楽譜・CDが出版されている。www.parksoohyun.net


平野達也 HIRANO Tatsuya

「ロゴグラボス〜散文詩家」ユーフォニアム4重奏のための
I.アポロドーロス
II.ソフォクレスまたはスケルツォ
III-1.エウリュアロスまたは間奏曲
III.エウリピデス(フーガ)またはフィナーレ
※(7楽章中主要4曲を演奏)
・・・ギリシャ神話を読んだ。
 とあるページを引用すると「殺された相手は一説によればオイネウスの兄弟のアルカトオスであり「アルクマイオーニス」の著者によればオイネウスに対して陰謀をめぐらしたメラースの息子たち、すなわちペーネウス、エウリュアロス、ピュペルラーオス、アンティオコス、エウメーデス、ステルノプス、クサンティッポス、ステネラーオスであると主張している。」・・・全般にこの様な調子。全く無駄な本だと思った。だが神々の名前の列挙の豊穣さには感服した。
 常に豊穣なる何かが自身の創作にあるべきだと思う。しかし先ずは「努力賞」。同時に一等賞の素晴らしい(はずの)内容にも同意すべき!本来、真贋を峻別する「努力賞」をこそ追求すべきではあるが。
 音楽の豊穣なる生産、体温のない静止画のよう。それは時として悲しくさえある。人為的廃墟のよう。(私は廃墟庭園の庭師なのだろうか?)
生産と発展は違うはず。発展を伴わない「発展」と名付けられた歴史、は想像するだけでも怖いが、「発展は必要でなかった」、と誰か証言してくれれば胸の支えも下りるのに。歴史の区分は、皆可視の架空の庭園とも言えなくもない。
「努力賞」の周辺を、全く無駄な真なる廃墟ギリシャ、の神話から学んだ。
・・・ギリシャ神話よ、ありがとう。

平野達也 
大阪音楽大学大学院作曲科修了 近藤圭氏に師事
ジャズから現代音楽オーケストラからアンサンブルまで幅広い分野に作品と編曲があり演奏回数多数。近年、吹奏楽曲も多く手掛ける。2008年3月、JAT日本トロンボーン協会主催、第10回トロンボーンアカデミー&フェスティバルにて「優秀作品」受賞、
併せて出版 受賞曲「ラプソディア・コンチェルタンテ」(東京・滝野川会館初演)。
2009年3月、第5回邦人吹奏楽作品の演奏会「風雅」出演、レンタル譜(ティーダ出版)「青と赤銅色のオーバード」( 2009年2月大阪・いずみホール初演) 、6月大阪管楽アンサンブル第28回定期「過ぎ行く季節に寄せて」演奏予定、等がある。


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演奏者プロフィール


Piano:岩崎 宇紀
京都市立芸術大学音楽学部卒業。京都音楽協会賞受賞。日本現代音楽ピアノコンクール優勝。併せてアルバン・ベルク賞受賞。「東京の夏」音楽祭、NHK-FM現代の音楽」、テレビ朝日題名のない音楽会」に出演、その後各地でリサイタル、サントリー音楽財団コンサートやいずみシンフォニエッタ大阪定期演奏会など、近・現代音楽を中心に演奏活動。ピアニスト藤島啓子と‘if ’ピアノデュオを結成、6月にCD発売予定。

Marimba:後藤 由里子
同志社女子大学学芸学部音楽科打楽器専攻に入学、卒業後、同大学音楽学会「頌啓会」特別専修課程を修了、第10回日本管打楽器コンクールにて3位受賞。マリンバコンチェルト、打楽器コンチェルトをオーケストラ、吹奏楽等と多数共演。 近年は三味線、和太鼓、尺八、ジャズヴォーカル、語り等との共演も多く、ジャンルを超えた音楽活動を展開。2007年、NHKラジオ「名曲リサイタル」に出演。現在、大阪府夕陽丘高校音楽科、相愛学園中学非常勤講師。

Piano:吉野 正江
大阪教育大学教養学科芸術専攻音楽コース卒業。同大学大学院教育学研究科音楽教育専攻器楽専修修了。コンセール・ヴィヴァン新人オーディションに合格。第17回京都芸術祭デビューコンサートに出演。デュオリサイタル、絵とピアノのコラボレーション等をはじめ、人の輪が広がるコンサートを展開中。テノールデュオThe Phase(ザ・フェイズ)の専属ピアニスト。 ピアノと作曲を大藪真紀子、故・田渕英治、ピアノを樋上由紀、小武内京子、志賀美津夫、田中紘二、武田牧子・ヘルムス、田渕千代子の各氏に師事。

Piano:竹内 愛未
大阪府立夕陽ヶ丘高等学校音楽科をへて大阪音楽大学卒業。佐藤美秋、松村英臣各氏に師事。2001年ドイツ・ヴァイカースハイム国際音楽祭にてT・パルム氏のマスタークラスを受講、以後も同氏の下に赴き研鑽を積む。第一回岐阜国際音楽祭コンクール入選。04、05、07年リサイタルを行い、多くのジョイントコンサートに出演。室内楽でも編成問わず積極的な演奏活動を行っている。HP…http://manami.petit.cc/

声:西村 尚美
2004年、大阪音楽大学音楽学部器楽学科卒業。在学中に第一回ミレニアムスチューデントコンサート出演。第九回長江 杯国際コンクール 優秀賞受賞。これまでにバイオリンを鷲山かおり、木田雅子に、ビオラ中島悦子の 各氏に師事。現在はフリーの奏者としてオーケストラや、「Clara Piano Quartet」のメンバーとして活動するかたわら、ギターとバイオリンの ポップスユニット「感旅鈴」を結成し、ライブ活動などもしている。

声:杉本徹 
4歳よりピアノを始める。大阪芸術大学作曲専攻卒業後、モバイル関連企業で音楽制作を担当。街角コンサート2004「FM802」賞受賞。現在、ピアノ・キーボード・鍵盤ハーモニカ演奏で様々な演奏に参加、幅広いジャンルで演奏活動中。

ユーフォニアム4重奏:euphonium group ‘GROW’
GROWとは1999年に関西の若手ユーフォニアム奏者5名によって結成されたソリスト集団。グループとして活動のコンセプトを、「毎回各自未発表の曲を、その都度決められたジャンルで演奏し、ユーフォニアムのレパートリーの拡大と再認識を目指す」という事に置き、これまでに7回の演奏会を開催。また、神戸ルミナリエ・ウォーカーフェスタやユーフォニアムテューバフェスティバルOSAKA2000等に参加。2002年より毎年開催されているユーフォニアムキャンプ〜関西的Euph三昧〜にて、メンバー全員が講師として参加。
坂岡裕志    1991年、大阪芸術大学芸術学部演奏学科管弦打コースを卒業。ユーフォニアムを的場由季、三宅孝典各氏に師事。第一回全日本ベストプレイヤーズコンテスト奨励賞、第九回和歌山音楽コンクール第二位入賞、第六回日本クラシック音楽コンクール大阪地区本選にて優秀賞、同全国大会に於いて審査員特別賞を受賞、第三回松方ホール音楽賞にて大賞受賞、第一回大阪国際音楽コンクール奨励賞受賞など、多くのコンクールに入賞を果たす。現在、ソロ、室内楽を中心としたフリーランスのプレイヤー及びブラスフェイヴァリッツ、ユーフォニアムグループ"Grow"、ブラス・スカラーズ大阪、ウインドカンパニー、バイエルンカペレ大阪の各メンバーとしての演奏活動の他、垂水区音楽協会の会長として、地域の音楽文化の発展と交流に力を尽くす。
深川雅美 1995年、大阪芸術大学芸術学部演奏学科管弦打コース卒業。ユーフォニアム木村寛仁、三宅孝典の各氏に師事。卒業時、演奏学科長賞を受賞。大阪芸術大学卒業演奏会、関西ユーフォニアムテューバデビューコンサート、ヤマハ管楽器新人演奏会、新進演奏家によるフレッシュコンサート等に出演。1995年8月、大阪シンフォニカーと共演。2001年、第15回日本管打楽器コンクールユーフォニアム部門第4位入賞。 2003年3月ソロリサイタル開催。2005年に山内由香とデュオリサイタルを開催。2007年2月には奈良と地元の富山でソロリサイタル開催。大阪芸術大学演奏学科非常勤副手を経て現在、大阪芸術大学相愛大学奈良県立高円高等学校音楽科非常勤講師。全日本学校音楽研究会講師、YURI・ミュージックスクール、ユーフォニアム講師、関西ブラスソサエティのメンバー、その他小・中・高校のクラブ活動のユーフォニアムパートの指導やフリーとしての演奏活動も行っている。
川原 三樹夫 98年リヨン音楽院にて金メダル受賞。同年 パリ高等音楽院 ( C.N.S.M.D.Paris ) に合格。2000年度 ヤマハヨーロッパの奨学生に選ばれ、01年同音楽院ユーフォニアム/サクソルン科を首席で卒業。フランス国立管弦楽団のラジオ講演,パリブラスバンドソリストとして出演。またLyon若手アーティストMoko,LesmonstroplantesとのLiveTV録音、CDセッションにも参加しながらMACON,VIENNE音楽院で子供の為のマスタークラス、ソロ活動を通して楽器のよりいっそうの普及を目指す。パリギャルドトランペット奏者E.PLANTE,トロンボーン 奏者Y.GIRARDのマスタークラスの通訳で信頼と好評を得ている。
井原茂樹
2005年、大阪芸術大学芸術学部演奏学科管弦打コース卒業。ユーフォニアム木村寛仁、深川雅美の各氏に師事。卒業時、研究室賞を受賞。大阪芸術大学卒業演奏会、ヤマハ管楽器新人演奏会等多数の新人演奏会に出演。第9回KOBE国際学生音楽コンクール最優秀賞受賞。現在はフリーランス奏者として関西を中心に活動中。バリ・チューバアンサンブル「おとめ座」、ブラスパラダイス大阪、ザ・ブラスコンソートの各