夜叉ヶ池

夜に列車で今庄に入り、今庄サイクリングセンターに泊まる。
朝、小雨だが夜叉ヶ池に向かう。
ヤマアジサイシモツケソウが咲き、樹齢300年〜400年のカツラやトチノキを見る道。


沢は前日までの台風の雨でかなり水量が多く深い緑の中、夜叉滝の水流も豪快。



もっと北の山、あるいはもっと高い山に行くとブナの純林やトドマツの林や、カバノキなどでもっと林相はすっきりしているのだが、この越美国境の山、いわゆる奥美濃の山は、多雪であるが標高はあまり高くなくいろいろな植物がもしゃもしゃと繁殖しているというような林相である。生物が多い森。
夜叉ヶ池まで歩いて2時間。
霧で三周ヶ岳も岐阜県境から向こうの谷間も見えない。

モリアオガエルの卵塊があり、オタマジャクシとイモリとヤシャゲンゴロウがいっぱいいる。
最初は静かな池であったが、下山しようと立ち上がったとたん、カエルの大合唱となった。
斉唱ではなく、それぞればらばらでリゲティの音楽を連想したが、それよりはるかに心地良い音響でいくら重なっても混濁しない。
下山の道は、様々な鳥が叫び(いわゆるきれいな鳥のさえずるというのではなく、奇妙な叫び声をあげる鳥が多い)、ヒグラシが鳴き、セミの声が下から聞こえ飽きさせない。
植生の垂直分布があるように生き物の音にも垂直分布がある。ただし、音は、かなり遠くまで聞こえるので、谷底からセミの声と沢の音が湧いてくるように聞こえ、ヒグラシの声はあちこちで響き、鳥の叫び声は方向性をもっていてあちこちを移動し交錯する。
この山は生き物の音で賑やかである。


夜叉ヶ池は、泉鏡花の作品で有名である。
前にここを訪れた時は残雪期で、夜叉ヶ池はほとんど雪に埋もれ、一部分が青く水が見えていただけであった。
その時の写真はこれ。

登山口には樹齢300年以上のカツラの木がある。

今庄サイクリングセンターの壁面には大きな龍の絵がある。